NOW栞-夏の終わりに-

このたびはトドブックスの栞をご購入いただきありがとうございます。

「栞」というのは、読んでいる途中の本に挟むために使われるもので、それ以外の用途がない場合が多いかと思います。

ですが、ただ本に挟むという用途のために「栞」を作るのだとしたら、もう少し何かがあっても良いのではないかと考えました。 そこで思いついたのが「言葉」と「音楽」です。

このページでは栞のテーマである「今」にちなんだ、制作秘話のようなメッセージとオリジナルの音楽を贈らせていただきます。

寝る前の読書のときにでも、ふと「そういえば、栞にはなにやら言葉と音楽が入っているんだった。」と思い出したりなどして見ていただけると嬉しく思います。


トドブックスの制作第一弾は「過去今未来」をコンセプトに行っています。

それは、お店の本のセレクトのテーマが「あわい(間)」だから。間って、他に二つ以上の存在がないと成立しないじゃないですか。タンスと壁とか。

その二つの存在と間は切っても切り離せない関係で、「切っても切り離せないものってなーんだ」なんて考えていたら「時間軸?」と思いまして、はい。

過去は熱海の想い出を切り取ったブックカバーを、今は言葉と音楽を詰めた栞を、未来は言葉の可能性が広がる詩のZINEを制作することにしました。

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過去を慈しんで、今に真剣になり、未来へ希望を抱く。

少々綺麗すぎる言葉かもしれませんが、こんな風に感じることのできる人生は良いものではないかと思ったのです。


“過去を慈しむ”というのは、楽しいことよりもつらいことの方が多い毎日かもしれないとふと感じては、「いや、まさかそんなことはないはずだ」と過去を顧みて楽しいことは確かにあったと物思いに耽るようなこと。

夏の訪れと一緒に感じる青々とした匂いに、甘さや酸っぱさよりも3割増しくらい苦い青春時代を思い出してしまい「ぐはー」となることなども、たぶんそれです。


“今に真剣”とは今を大事にと言いたいのではないです。丁寧ともまた違う。 人間、生きてたら自分の今を、誰かの今を大事できないときだって、丁寧になれないときだってけっこうある。あるんだけれど、それでも真剣にはいないといけない。

素直になれなくても、不器用でも、好きな人に好きなんて言えずにちょっかいを出してしまうようでも、「仕方ない」って噛みしめる。良いことも悪いことも自分のことも誰かのことも、全部ひっくるめて生きている覚悟をもつこと。

それが”今に真剣”ってことだと思うのです。


“未来へ希望を抱く”は、そもそも未来が絶望だとしたら「人生なんてやってらんねえ」と投げ出したくなりますが、自分が「こうであったらいいな」と憧れる未来に対して出来ることをしている実感のこと。


「今」が楽しくある必要は必ずしもないと思っていますし、常に楽しいなんて無理です。つらいときはつらいし、気持ちが落ちているときは道に転がっている石ころにさえイライラするかもしれません。

それでもそんな「今」に納得できていることは大切。

今の状態に納得している、噛みしめることができていることは満足しているとはまた別ですが、真剣であるということなのだと思います。だからなるべくそう在りたい。


そんな想いで制作をしています。

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デザインは「カラーが未来を、モノクロが積み重なった過去を表しており、NOWという文字がその間に存在して” 過去今未来”って時間軸がある中でその全てと向き合うために必要な本を挟むもの=栞」という考えで、

熱海のお土産屋論LONESOME寒の横須賀さんに制作いただきました。ありがとうございます。


そして今回この栞のために、おもに東京で音楽活動をしているバンドPOTALの福原才智さんに音楽を作っていただきました。

ページの一番下に、ストリーミング再生のボタンを付けてあります。


タイトルは 夏の終わりに

「夏の終わりの淡く切ないけど少しなんだか達成感があって誇らしげな帰り道に思い出す過去とそれを繋ぐ今のようなイメージで、淡く色濃い今を。」Saichi Fukuhara.

ぼくが生まれて初めて買ったCDがPOTALのCDで、今回トドブックスのために音楽を作ってもらえたことを心から嬉しく思っています。ありがとうございます。

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さいごに、昨日も今日も明日も納得できるような日であることを願って、おしまいとさせていただきます。


Title 夏の終わりに

作詞 作曲: POTAL 福原才智


2019.9.30 トドブックス代表 村松徳馬

Design: 論LONESOME寒 横須賀馨介

Sound: POTAL 福原才智

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