熱海の愉しみ方

「こんど熱海に行くので、熱海のたのしみ方を教えてください」と聞いていただくことが増えたのですが、ぼくが愉しいと思うことをあなたもたのしいと感じるとは限らないのに答えちゃってもいいのかなぁと毎回思ってしまいます。


ぼくはずっと集団の中にいたり、誰かといたりすると無性にひとりになりたくなって、突然人のいない海岸とかへ行ってしまうような人種なので、そんなときに熱海へ来ればいいよと言いたいです。

そして、一泊か何泊か海の見える温泉旅館に泊まってケータイやパソコンと距離を置いて、よければうちで買った本でも読みながらじんわりしてください。

散歩などをして道からもくもく出ている温泉の湯気に「わぁ」となってください。

おいしいものはいい値段がしますが、「たまには」と財布の紐をゆるめるのもアリかもしれません。

誰かと一緒に来るのであれば、熱海城へ行くとたのしいかもしれません。

地下一階が遊技場になっていて、まるでスポ〇チャです。全部お城の入場料だけで遊べます、卓球もあります。

ホームセンターでグローブとボールを買って砂浜へ行ってキャッチボールをしてもいいかもしれません。

季節外れの線香花火とかも好きです。


どこか遠くへ出かけるときは

遠くに出かけるときは「たのしみ方」より「日常生活のなかのどんなときに行くのか」が重要だと思っていて。

例えば、節目。

職場がかわる、学年がかわる。結婚をするなど。

ぼくは節目には神社に行ったり、遠出をすることを心掛けています。

それは自分のなかで「満足してないかもしれないけどここまでよくやったと思うよ、また次のフェーズに入るんだから心身整えようよ、ね。」と言い聞かせて焦る気持ちを落ち着かせたいからです。


あとは疲れたときや、ペースを整えたいとき。

古来より温泉地は、休むための場所です。

「温泉で疲れを癒すなんて年寄りくさい、若い人はもっと頑張れ。」などの意見をお持ちの方もいるかと思いますが、そこで年齢なんてものは温泉にでも沈めましょう。みんないつも頑張ってると思います。

頑張らないと、人生なんてめんどくさくてやってらんないじゃないですか。

肩の荷をおろしたいとき、悪い流れを断ち切りたいときに温泉入りに行くのは素敵なことです。

なので、日常生活のなかで”ふと海を眺めたいような気持ち”のときに来ると愉しいと思います。

ちなみにぼくの好きな時期は秋です。海の先に見える月がきれいなので。

あと、冬の白っぽくて乾いた海も好きです。


人って必死の形相で寝る間も惜しんで勉強した日々のことはよく覚えていないのに、テスト期間が終わって友達となぜか半裸で全身全霊騒ぎ散らかしたことや、酔っぱらった深夜2時にフラフラでやった神経衰弱とかは鮮明に覚えているものです。

両方大切な時間ですが、熱海は後者のような気の休まる記憶に残る場所であってくれると嬉しいものです。人を嫌な気持ちにさせない範囲でバカなことしましょう。


2019.8.31. トドブックス代表 村松徳馬